青い部屋

NERO闘病記④:鏡の中の…

diary04

=============================
ーー翌日。

朝から怒濤のような検査が続いた。

馬用のかと思うほどの太さの注射で3本ほど採血。
感染が脳に及んでいないかを確認するために、脳MRIを。
つづけて経食道エコーという、ホースのようなカメラを口から飲み込む検査で、肋骨の裏側から初めて自分の心臓を見た。

「ほ ら、見て下さい。これがあなたの心臓の弁。2枚しかない。これは先天性の二尖弁という奇形です。それがもう壊れていてちゃんと閉じられなくなっているのが 見えますか?このせいで血流が逆流を起こして心臓に極端な負担をかけているんです。それを補うために、いつでも心臓はオーバーヒート状態で、このままでは いつ止まってもおかしくないんですよ。」

確かに。
脈動する心臓の中央にはパックリと開いた穴がある。唇のような弁が。
その唇の片側は手練の淫売のようにだらしなくあけられたまま、閉じることを忘れている。

「感染症の治療を抗生物質でしても、最終的にはこの壊れた弁を治さないかぎり、根本的な解決にはなりません。手術が必要です。」

ーーーーーー

夜。
母と俺、青い部屋関係者が病棟の談話室に集まった。
担当医がやってくる。

ーー抗生剤の治療でまずは熱を下げていきます
   その後は手術をーー

ーー心臓の手術ですから…大きく胸を…切開…人工心肺に切り替え…
   人工弁と取り替えます…ーー

ーーただ、それまで心臓が持つかどうか…かなり壊れてる…
   弁以外にも壊れている場所があるかも…難しい手術…ーー

どこかで見たな
ドラマで見たような場面だ
沈痛な面持ちでそれぞれが医者の一言一言を聞き漏らさないようにしている
現実感と非現実感が交錯し俺のリアルを奪ってゆくーー

(誰の話
 おまえの話

 おまえって誰だよ
 目の前に映っているおまえのことだ

 俺の創り上げたおまえ
 おまえの映し出す俺
 
 幻想だ 幻影だ 鏡の中…

 誰…誰…誰…
 
 やっぱり…
 
 …俺だ!)

ーー?つき!!!!!

心の中でそう叫んでいながらも、わかっていた
だからネットで即座に公表した

なあNERO、やっと逢えたな
ずっと…ずっと…長い間…

俺はおまえと話がしたかったんだ

(続く)
(挿絵:ミロ)

 

  • カテゴリ一覧

  • 青い部屋チャンネル
  • NERO 公式ブログ
Copyright (c) 2013-2017 Aoi-heya All Rights Reserved.